君の肌を壊す夜



食事をテーブルにセットするとタイミング良くなるチャイム。


「お帰りなさい」って言いながら彼のスーツの上着を預かるのは新婚気分を先取るように楽しい。


「今日はもしかして、ビーフシチュー?」


玄関に入るなり、食事を言い当てた彼に頷く。


「大翔の大好きなパンも今、焼けたところだよ。」


二人、向き合って小さなテーブルを囲む。


付き合い当初は全ての出来事にいちいちトキメいてたっけ。


食後、二人の好きなハーブティーを注いで手渡す。


一瞬、起こった頭痛にしかめっ面したあたしを心配する大翔。


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