君の肌を壊す夜
第三章
記憶の一片
ピンポーン!!
数回目のインターフォンを鳴らしても、中から誰も出てくる気配が無い。
トレンチコートを着ていたって秋の風は肌に凍みるほど冷たい。
あたしは両手に野菜の入った袋を持って大翔の実家を訪れていた。
「…いないのかなぁ。」
やっぱり大翔に連絡してくれば良かった。
だけど出張中の彼は、忙しいせいで、なかなか電話に出てくれることはないので最初から宛にしていなかった。