君の肌を壊す夜
第四章
記憶の鍵
何のあても無く飛び出して来たわけじゃない。
あたしが向かった先は記憶を失った頃まで住んでいた街。
働いていた会社の友人のもとだった。
「…懐かしい。元気にしてたんだね。」花梨は三年ぶりに突然、訪れたあたしを以前のように部屋に招き入れてくれた。
「引っ越してから全然、連絡しなくてごめんね」
謝るあたしに彼女は静かに首を横に振った。
メニュー
記憶の鍵