君の肌を壊す夜
「あんな事があった後だもん…仕方ないよ。」
「あのさ…」
「何?どうしたの?」
「聞きたい事があるんだ…」
「うん?どうかした?」
「あたし、一人旅行の最中に事故に遭って記憶を失ったって…聞いてるんだけどさ。
本当…なのかな?」
少し伏し目がちに聞いていた彼女は困ったように笑う。
「周囲がそう言っていたなら…そのはずじゃない?」
「あたしは花梨に聞いてるんだ…。」
花梨はあたしが社会人になってから初めてできた親友。