君の肌を壊す夜
「大翔か優貴。どちらかの名前に覚えは無い?」
そう聞いたあたしを彼女は目を丸くして驚いた表情をして見せた。
「思い…出したの?」
その言い方は、決して喜んでるようには見えなく、それどころか
まるで悪夢を思い出したように青ざめた表情だった。
「思い出してない。
ただ、今…大翔という人と婚約をしてる。
だけど、あたしは彼の弟に…
どうしようもない懐かしさと切なさを感じて…困惑してる。
もしかしたら…二人があたしの失った記憶に関係してるなら…
あたしは真実を知りたいんだ。」