君の肌を壊す夜



突然、会社に辞表を提出した紗雪が


夜中、大きな荷物を持って私の部屋に訪れた。


「…どうしたの?その荷物」


青ざめた私に彼女は申し訳なさそうに頭を下げた。


「あたし…やっぱり彼の弟を愛してる。」


「…そう」


「会社にも辞表を提出した。」


「えっ?!何言ってるの?!」


「黙ってこんな事してごめんね。」


そう言いながら


大粒の涙が落ちていくのを見て


私には親友を責める言葉なんか見つけられなかった。


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