君の肌を壊す夜
違う。
大翔が言ってるのはあたしの事じゃない。
亡くなった彼女のほうだ…。
彼の指先が頬に触れた瞬間、冷た過ぎるその眼差しに思わず叫び声をあげていた。
「キャーッッッ!!」
あたしの叫び声に周囲にいた人達が振り返る。
それでも、もう大翔には周りなんか見えていなかった。
頬に触れていた指先がツーッと首に触れた瞬間
「何やってるっ?!」
駆け付けた警備員に取り押さえられた彼。
思わず逃げ出していた。