君の肌を壊す夜



記憶を失っても心は覚えてる。


呼ばれるだけで


跳ね上がる鼓動。



優しいその声。



見上げたそこには



息をきらして


青ざめた表情をした優貴が


心配そうにあたしを見つめていた。




「…本当に来てくれた」



そう呟いたあたしに


笑顔を返すと


彼は優しくあたしの手をひいた。



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