君の肌を壊す夜
「ビジネスホテル。
予約取ってるからそこに行こう?」
「話したい事が一杯あるの」
彼の手を強く握り返すと
「移動してからゆっくり聞く」と呟いた。
あたしを安心させるためなのか…
いつも以上に穏やかな表情を見せた彼に
あたしは頷いて
この手が離れないように
もっともっと強く握った。
乗り込んだタクシーの中。
二人の間に会話なんかなくて
あたしは車の中から流れる景色をぼんやり眺めていた。