君の肌を壊す夜



急遽予約を入れたようには見えないホテルに着くと


あたし達はようやく肩を撫で下ろした。



「ビジネスホテルなんて言ってたから…カプセル的なものかと思ってた。」


「まさか」と笑う彼があたしに途中、立ち寄ったコンビニで買ったお茶を手渡してくれる。



8畳くらいのツインの洋室。


隠れるだけにしては勿体ないくらいだ。



「…兄さんと喧嘩でもした?」


あたしの内を探るように聞いた彼は


少しだけ脅えているようにも見える。



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