君の肌を壊す夜



「貴女を奪いたい。」


不意に捕われた瞳。


我に反るとあの頃より随分、大人びた顔立ちの優貴がいた。


「…もう貴女と離れるのは嫌なんだ。」


囁く一言、一言が


あたしの胸を高鳴らせる。


「このまま逃げようか?

二人で…俺達を知る奴がいない街へ」


そう言った彼に


頷けたなら


あたしは幸せなのかな?



それでも


あたしは首を横に振った。



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