君の肌を壊す夜
「片瀬…紗雪です。
ふつつか者ですがよろしくお願いします。」
準備していたはずの言葉は頭からスッポリ抜けて、気の利かない挨拶しかできなかった事が恥ずかしい。
できるなら大翔にフォローをいれてもらいたいのに…
彼はそんなあたしに気付いてなんかいない。
そんな時、あたしの向かいに座っていた未来の弟…
ううん
あの夜の彼が…
「貴方みたいなお姉さんができるなら嬉しいよ」
なんて
あの夜には見なかったような優しい笑顔を浮かべた。