君の肌を壊す夜



「片瀬…紗雪です。

ふつつか者ですがよろしくお願いします。」


準備していたはずの言葉は頭からスッポリ抜けて、気の利かない挨拶しかできなかった事が恥ずかしい。


できるなら大翔にフォローをいれてもらいたいのに…


彼はそんなあたしに気付いてなんかいない。


そんな時、あたしの向かいに座っていた未来の弟…


ううん


あの夜の彼が…



「貴方みたいなお姉さんができるなら嬉しいよ」


なんて


あの夜には見なかったような優しい笑顔を浮かべた。


< 42 / 250 >

この作品をシェア

pagetop