君の肌を壊す夜



大翔を想いながら、あたしの頭の中は優貴…


…彼の弟で一杯なんだ。



こんな自分に気付くくらいなら、いっそこの雨に飲み込まれて消えてしまいたい。


溢れる涙さえ拭えずにいるあたしを追って


今1番、顔を見たくない優貴があたしの肩を捕まえた。


「逃げんなよ。」


「逃げるわよ…

もう大翔のいない場所では会いたくないの!」


呟いた声は


あたしの悲痛の叫びだった。



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