君の肌を壊す夜



顔の左半分が、熱く痛い。


唇が腫れ上がって、喋る事さえおっくうになる。



だけど響くようにズキズキ痛む頬よりも、今あたしを心配して目の前にいるのが、大翔ではなくて優貴だという事のほうがよっぽど心が痛む。



「ちょっと痛むけど我慢して」


少し怒った表情で、あたしの頬に冷たいタオルを押し当てた彼の目を真っすぐに見る事ができない。


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