君の肌を壊す夜
思い出のハーブティー
頬の腫れが退いた頃
大翔が気まずそうな表情を見せながらあたしの部屋を訪れた。
気まずいのはあたしも同じだ。
優貴の言ったように、もしあたしの記憶が一部、喪失している事を大翔が知っていたなら…
知っていてあたしに近づいた?
あたしを…あの写真の彼女と重ねたくて…?
ポットから熱いお湯が煙りを立てて落ちていく。
二人の好きなハーブティーの良い香りが鼻をくすぐっても、二人の間にあるのは重たい沈黙だった。