キミがいた夏~最後の約束~
顔を上げると橘先輩のキレイな瞳と視線がぶつかる
橘先輩はウエットスーツから制服に着替えていた
チョコブラウンの髪はまだ少し濡れているようで、前髪は持ち上げて無造作にピンでとめられている
柔らかそうな髪だな…触ってみたいな…
そんなことを考えて、ハッとする
私、何考えてんの!?
恥ずかしい!
橘先輩はそんな一人でブツブツ言っている私を気にした様子もなく話しかけてくる
「時間、大丈夫?」
私は橘先輩に視線を戻すと静かに頷いた
そして先輩は私に背中を向けて歩き出す
その背中をながめながら、現実じゃないような変な感覚にとらわれた
この状況はなんだろう?
ボーッとしていると
少し行ったところで先輩が振り返った
「こっち」
そこで私はようやく立ち上がり、その広い背中を追いかけた