キミがいた夏~最後の約束~
話を終えて店の中に入ると都さんが遅めのお昼ごはんを食べに来ていた
綾香はオーダーを取りに行ってお客さんと楽しそうに話している
「あ、美鈴ちゃんやほぉ~」
「あ、お疲れ様です」
いつも通りの他愛のない会話から始まって、色々な週刊誌のネタを話してくれる都さん
一緒に住み始めてから、本当のお姉さんのような存在になった気がする
「渚、元気?最近見ないけど?」
「あ、なんか明日から友達と県外の海をまわるらしくて準備してるみたいですよ」
「へぇ~やる気だねぇ」
そう言って心底うれしそうな顔をした都さんはお水を一口飲む
「渚もねぇ~順当に行ってれば今頃、プロサーファーだったんだけどねぇ~」
「え?そうなんですか?」
そりゃすごい、そんなことを思って都さんを見ると少し微妙な顔をしていた
「美鈴ちゃんに言うことじゃないけど、あいつは途中遊びに走っちゃってさ」
私は笑いながらなんでもないことのように顔の前で手を振る
橘先輩の過去
気にならないっと言ったら噓になるけど
気にしてもどうしようないってこの間痛感した
「まあ、若いからそんなこともあるさね、でもやっとやる気になったかぁ~」
「そうみたいですね」
「まああいつなら絶対やってくれるわ!」
そう言って都さんがウインクしなが『ね?』っと言うので
私もそれに大きく頷いて見せた
「よーし!優勝したら、お祝い記事をドーンとのせてやる!」
そうだ
橘先輩の未来はどこまでもどこまでも広がっている
私もその夢を影ながらでいい
応援していきたい
心からそう思った