キミがいた夏~最後の約束~
侵食
「明日はいよいよ花火大会だねぇ」
洗い物をしながニコニコしている綾香
「うん…なんかごめんね…私だけ…」
私はその横で布巾で綾香の洗ったお皿を拭きながら謝っていた
私たちは閉店間際の店内で後片付中
「私も彼氏欲しい…!!」
「綾香…そんなこと言ってこないだまでメールしてた人は?」
「あれはダメ!なんかね、メールの内容が頭悪い」
「そんなこと言われたら私はどうすれば…」
「美鈴が頭が悪いのは今始まったことじゃないでしょ」
「う……そこまで言わなくても……」
「ぷっはははは!」
その声に2人で振り向くとトビーさんが爆笑していた
「二人共、タイプが違うけどいいコンビだねぇ~」
そんなことを言われて複雑な気分になる
本当に綾香は私とは反対でキビキビ、ハキハキしてるし頭もいい
でもいいコンビってのは嬉しいな
「もうそこまでで、あがってくれていいよ!お疲れ!」
そう言われて私は綾香を近くまで見送ることにした
「綾香、それじゃ明日はお土産にりんご飴買ってくるね」
「わーい、楽しみ♪あ…」
「ん?」
何かに気がついた綾香の指した指先を辿ると
そこには海からあがって着替えて出てくる橘先輩の姿があった
「んじゃね、明日は楽しんで」
私はうんといって綾香を見送った後、橘先輩に向かって歩き出した