キミがいた夏~最後の約束~
大きな音と共に橘先輩の低くくぐもった声が暗闇に響いた
そして花火は再び上がる
その残酷な光景を私に知らしめるように
「いやあぁぁぁぁぁぁ━━━━━━━!!」
そこには…
前のめりになって、苦しそうに倒れている橘先輩の姿
「ばかか!!マジで刺しやがった!!」
「ちっ!逃げるぞ!!」
そう言いながら3人は散っていく
誰か…
誰か…
お願い…
私はもういいから
もう橘先輩に
近づいたりしないから
お願い誰か助けて
この願いを聞き入れて
私は泣きながら必死で走っていた
足がもつれて転けそうになりながら
それでも必死で走っていた