キミがいた夏~最後の約束~
「すみません…服まで持ってきて頂いて…それに…浴衣を汚してしまって…」
「いいのいいの!あれは美鈴ちゃんにあげたんだから!それより美鈴ちゃんが何もなくてよかったわ!」
私は病院に駆け付けてくれた晴海さんを見送っていた
橘先輩があれからすぐに病院に担ぎ込まれて手術を受けたからだ
「でも対したケガじゃなくて安心した…」
私は小さく頷く
私がいなければ
小さなケガも大きなケガもしていなかったかもしれない
それを思うと素直には喜べないでいた
「美鈴ちゃんがそんな顔しなくていーの、それに渚はあれぐらいが、大人しくなっていいかもね」
晴海さんが私の頬っぺたをチョンチョンっとつついて慰めてくれる
「んじゃお言葉に甘えて、渚をよろしくね」
私はそれに何とか笑顔で答えて、
去っていく晴海さんに手を振っていた