キミがいた夏~最後の約束~



看護師さんはそんな橘先輩に苦笑しながら



「そうねぇ…その傷なら全治3週間ってとこかしら?2、3日入院したら後は自宅療養ね」


「さ…3週間!?」


「あら、あなたこれでもかなりいい方よ?内ももの動脈刺されてたら今頃生きてないわよ?」


橘先輩はそれを聞いて苦い顔をしながらも頭を縦に振っていた



「大会には出れないな…」


トビーさんの言葉に益々、眉間にシワをよせる橘先輩


大会とは9月の頭にあると言っていた、サーフィンの大会のことを差しているのだろう 


橘先輩がプロサーファーになる足掛かりになる大会…


私は苦しそうに歪む橘先輩の顔を、申し訳ない気持ちで見つめる


看護師さんは、もう夜遅いから帰るようにとだけ言うと病室から足早に出ていった



「まあ、命があっただけよかったわ!大会はまたあるしな!」


トビーさんは橘先輩を慰めるようにそう言うと、橘先輩もそのトビーさんの気持ちがわかったように笑顔を返していた






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