キミがいた夏~最後の約束~
侵食2
次の日
私は都さんと、テイクオフが昼から混雑することを考えて、朝から橘先輩のお見舞いに来ていた
やっぱり病院ってなんとなく苦手
この無駄に清潔感を保った白い壁も廊下も
ひどく自分が不釣合いに感じて居心地が悪くなる
3階の一般病棟までエレベーターで上がると、病室の前でネームプレイトを確認する
『 橘 渚 』
「都さん、ここです」
後から付いて来ていた都さんにそう言った瞬間、中から楽しげな声が聞こえてきた
「きゃははは、も~やだぁ~」
誰か来てる?
そう思って都さんと顔を見合わせながらノックして中に足を踏み入れると
そこには楽しげに笑う昨日とは違う看護師さんと、当たり前のように橘先輩が話をしていた
その看護師さんは私たちに気づいて、橘先輩にまた後でねっとだけ言って手を振ると
私たちに会釈しながら、横を通りすぎて病室から出ていこうとした
瞬間、チラリと私の方を見た気がする
そして扉は閉まった
なんだか若い看護師さんだな…
「あーきーれーた!!」
突然、都さんが大きな声を出したのでそちらの方を振り替える
「あんた、もう看護師さんをナンパする元気があるみたいね!」