空を見上げる皇帝ペンギン。
背が高いのは、確かにバスケには有利なんだろう。でも、周防くんは背が高いだけじゃなくて、切り替えが早い。
すごい。
私は思わず席を立ちそうになって、留まる。後ろに座る人が見えないし、それだとあそこで騒いでいるファンの子達と何も変わらない。
ゴールを決めた周防くんがこっちを向いた。
手を振ったら、笑顔が返ってくる。
「周防ってすごいよね。」
隣で大人しく座っていた女の人が急に話す。一瞬誰に言っているのか分からなくて、固まってしまう。
「ね。周防の彼女さん?」
私に対してだ、と今知るのだけど。