空を見上げる皇帝ペンギン。
「そういえば、コーチを待たせてるんだった!」
急にバッと立ち上がって叫ぶ。私は驚きすぎて心臓が痛くなる。…コーチ?
え、という口の形をしたままの私に「ばいばい。」と言って、タタタッと走って行ってしまう。その後ろ姿を見ていると、フワリと膝に何か掛かって前を向く。同時に頬に温かいものが当たった。
「足、寒そうだ。」
周防くんが目の前に居て、温かいお茶のペットボトルを差し出してくれていた。剥き出しになっていた足に、周防くんが着ていた黒いコートが掛かっていた。