空を見上げる皇帝ペンギン。
赤身を見ながら、私は言う。
「マグロってね。」
言ってから、気付く。大変だ、私は周防くんに蘊蓄を話すのが癖になってる。
「…なんでもない。」
「マグロは、何の特徴があるんだ?聞きたい。」
「う…。」
周防くんは一枚上手。しかも笑顔で言うから、私は負けざるを得ない。
「マグロってね。動きを止めると呼吸まで止まっちゃうから、休む時も泳いで無いと駄目なんだよ。」
「疲れるな、それ。」
「そうだよね。だから、お刺身になってやっと休めるのかな…。」
確かに…、と呟く周防くんの視線の先はお刺身のパック。