空を見上げる皇帝ペンギン。
何?と聞き返しはしない。慶翠の続きの言葉を待った。
『やっぱり俺の倍鈍感だよな。』
捨て台詞。一方的に切られた通話。私は、無意識に眉を顰めて携帯を睨んだ。人の気にしてることを。
周防くんから怒りのオーラは消えた。
隣から手が伸ばされて、髪の毛が梳かれる。優しい手つきに、猫のようにスリよりたくなる。
「俺も、マグロみたいに成れたら良かったのに。」
「マグロみたいに?」
呟く声が降りてくる。
「緋睡が居なくなったら、死ねれば良かった。」