空を見上げる皇帝ペンギン。

姉ちゃんにはもう懲り懲りだ、と何度言われたことか。幼き頃を思い出して浸る、より先に三枝さんが口を開いた。


「緋睡ちゃんは、彼氏くんにも気遣うの?」

「え?」

「我が儘、言ったりしないの?」


ぺりぺりとマフィンのカップを剥がす音。私は、もうアイスティーを飲む気は無くなってしまって白と茶色の混ざった色に重たく感じる。

どうして、冬なのに冷たいものを選んでしまったんだろう。

我が儘、と考える。周防くんに何か言ったことがあるっけ?アレが欲しい、とか。



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