空を見上げる皇帝ペンギン。










ジャラリ、と鍵のぶら下がるキーホルダーを出して家の鍵を探す。その中に実家の鍵と自分のアパートの鍵、クリスマスにプレゼントとして貰った、周防くんのマンションの鍵。それが目について、ちょっと胸の奥がギュッとなる。

玄関には、見慣れない靴が置いてあって、すぐに慶睡のだとわかる。脱ぎっぱなしの靴の配置に、いつもお母さんから怒られていた。


「うわ、本当に帰ってきた。」


玄関を入ってすぐ横のリビングへの扉から出てきた慶睡。我が弟のクセに、第一声がそれ。


「ただいま。」


挨拶がなってないから、髪の毛を灰色に染めてしまったりするんだ。



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