空を見上げる皇帝ペンギン。
体が震える。寒い。
犬とか猫みたいに、冬は毛皮があれば良いのに…。
「そんな都合良く出来るわけない、か。」
昔は猿だったのだから、こういう寒さにも平気で耐えられたのかな。気づけば物思いにふけっていた。
しかも、周防くんのことじゃないことで。
そう考えて、何処かへ向かう足先を見つめる。
周防くんが、本当に慶睡の言ったように私が好きじゃないって思っていたとしたら?自分だけが私を好きだって思っていたら?
甚だしい考えだけど、可能性はゼロじゃない。
歩みが遅くなる。
近くの電線に止まった鳥が二羽、飛び立った。