空を見上げる皇帝ペンギン。
急いで後を追うと、周防くんが玄関で靴を履いている。
「周防くん、帰るの?」
私は、寝間着を着ている。冬の夜は寒くて、廊下は暖房の効いている部屋より寒い。
振り返った周防くんと一瞬目が合って、すぐに伏せるように下を見た。何処か、気まずそうに。
待って欲しい。
話がしたい。
抱き締めたい。
抱き締めて欲しい。
私の愛が足りなかったのなら、今までの分をちゃんと補うから。
「じゃあな、緋睡。」
扉が開く。冷たい風が入ってきて、頬を撫でた。