空を見上げる皇帝ペンギン。

気まずくて、また視線をアールグレイに戻す。相手の人にも、申し訳ない。

テーブルの上に、とん、と手が置かれた。


「あの。」


再び、上げることになる視線。その人は…その男子は、真っ直ぐ私を見たまま口を開く。


「ちょっと、時間ある?」

「…え?」

「少し、良いかな。」


人懐っこい笑顔。それでも、周防くんや近江くんより親近感が湧くことは無かった。

私、何かしたっけ。

基本的に同学年は桃葉ちゃんと近江くんとしか一緒に居ないし、先輩は三枝さんしか分からない。


「良い?」

「あ…はい。」


名前も何も分からないままついて行く。

後悔することも知らずに。



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