空を見上げる皇帝ペンギン。
ドキリ、と鼓動が耳に響く。視界が歪む。揺れる。周防くんの姿がぼやける。
「どうしたんだ?こんな時間に、いつからここに?」
心配そうに眉を顰めた周防くんは、私の腕を掴む。気付いてくれた。嬉しいのか、言葉では表せないのだけど涙が出た。
「妹?」
周防くんの後ろの方に居た周防くんの友達が言った。その言葉に密かに傷つく。
「いや、彼女。悪い、蒔田、今日は。」
「分かってるよ、今度の鍋はお前持ちだからな。」
「あぁ。」
視線が床のタイルに落ちる。結局、2人の邪魔をしてしまった。