空を見上げる皇帝ペンギン。

「仲良くしろよー。」


そう囁く声が聞こえた。私が少し視線を上げた時にはもう、友達はエントランスを出ていた。

2人だけが残る。

沈黙を破ったのは、周防くんの方。


「行こう。寒かっただろ?」


手を繋いで、引っ張られる。グズグズ泣きながら周防くんの後を着いて行った。階段じゃなくて、エレベーターで。

本当にノロノロとした動きで、確かに階段で上がった方が早いと思った。それでも、周防くん静かに私を引っ張っていく。

周防くんの片手にはビニール袋。

部屋に入れてもらった。



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