空を見上げる皇帝ペンギン。
言わなきゃいけないことが沢山ある。でも言いたくなくて。そんなのは、私の勝手な都合で。
「おやすみ。」と周防くんが呟いて、私もオウム返しした。
目を覚ますと、扉がパタリと閉まる音がした。周防くん。
後を追う。何処かデジャヴ。
「周防くん、どこ行くの?」
玄関の前に立つ周防くんはこちらを振り向いてくれない。その背中に手を伸ばす。
「緋睡。」
ヤケに耳元近くで発された名前。私の名前。そして、間違いなく周防くんの声。
振り返ってみると周防くんが居た。私を抱きしめてくれている。