空を見上げる皇帝ペンギン。
ハッと我に返って、ぎゅ、と周防くんの服を掴む。良かった、本物。周防くんは出て行っていない。
「寝ぼけてたのか?急に立ち上がるから、驚いた。」
また、夢。これから先、あと何回同じ夢を見るんだろう。考えたら怖くなった。
目を瞑る。今日はもう眠れない。
「…ごめんね。」
「緋睡?」
「わ…私、寝ぼけてたみたいで。」
「緋睡、何があったんだ?」
周防くんは、片手で私を抱き寄せることが出来る。背中を摩る手が優しくて、涙が出た。今日は、泣いてばかりだ。