空を見上げる皇帝ペンギン。

まさか、周防くんが大学に来るなんて考えてもみなかった。さっきまで居た女の先輩達は姿を消していた。


「忘れ物。」


ジャケットのポケットから出された物は、鍵。周防くん宅の鍵。


「まさか忘れて行くとは。」

「すみません…。」


実は、なくしたと思っていた。

帰ってすぐに無いことに気付いて、鞄とコートをひっくり返すように探した。探したんだけど無くて、周防くんに言わなければ、と考えていたところ。


「それは、ひとつの口実で。本当の理由は、緋睡に会いたかった。」


周防くんは、いつも不意をついてくる。



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