空を見上げる皇帝ペンギン。
胸の奥がきゅーっとして思わず抱きつく。しまった、場所を考えていなかった、と離れようと思ったら背中に手が回った。
「周防くん、今日は休み?」
「休み。予告無しに緋睡の家に泊まろうと目論み中。」
「大歓迎。」
「ありがとう。」
家に帰ったら、周防くんに私の家の合い鍵を渡そう。あ、その前に。
「これから、映画行くの。桃葉ちゃんと近江くんと。」
「ああ、さっきのが近江くんか。」
うん、と頷く。周防くんと少し離れて、桃葉ちゃんが行った方向を見る。
「じゃあ俺は時間潰して待ってるよ。」
「ううん、一緒に行こう。」
え、と驚いた声。
「私が一緒に居たいから。」