空を見上げる皇帝ペンギン。

同時に周防くんがこっちを見て、近くで紫暖さんが手を大きく振ったのに気付いて、俯く。


「あの、お昼休みになったら先に周防くんと食べて下さい。私、トイレに行ってきます。」

「え?うん、場所…。」


最後まで聞かずにそこを離れた。泣いてたら、紫暖さんに失礼だし、迷惑だと思う。

それに、周防くんが気付いたら嫌だ。

白い壁の通路を歩いて、トイレの場所を探す。出口の方に見た気がするんだけどな…。

来た道を戻っていると、前から金髪の男の人が来た。弟以外でそんな人を見たのは初めてで、凝視してしまう。

あ、とその人と目が合った瞬間、声が漏れた。私じゃなくて、その人から。



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