空を見上げる皇帝ペンギン。
友達が私の額を掴んで引き摺って…
「この子だろ?ほらよ。」
軽々と、ていっと、私は押されて後ろに倒れそうになった。それを周防は受け止めてくれて、私は倒れずにすむ。
「あんな笑顔見せるくらいなら、ちゃんと仲良くしろよー。」
周防くんの友達は、こちらに背中を向けてヒラヒラと手を振った。そして、記憶のもう一つの引き出しが動く。周防くんがバスケの試合の時の。
蒔田さんは私に、周防くんのあの笑顔の写真をくれた人だ。
少し前。
周防は何度も観客席の方を気にしていた。