空を見上げる皇帝ペンギン。
しばらく彼を見てしまった。
立ち上がるという思考も力も吹っ飛んで、どこか遠いところへ行ってしまったんだ。
「…あ。」
「ごめん、驚かせるつもりは無かった。」
開いた口から漏れた声に苦笑いして返す姿は、もう2ヶ月程見ていなかったけど変わってない。
思えば、夏休みの終盤に会ったのが最後。
「久しぶり。」
恋人同士なのに、これが挨拶っていうのは可笑しいのかもしれない。
でも、しょうがない。彼は、周防くんはここを離れて、陸上を選んだ。