空を見上げる皇帝ペンギン。

うん、と言葉だけ返す周防くんはなんだか眠そうで、申し訳なくなる。話しかけなければ良かったかも。

毛布一枚で寒く無いのはこの部屋に暖房が効いているから。こうしている間にも、南極の氷が溶けて地球温暖化に貢献してしまっている。

自分を罪な人間だ、と思う。


「私、やだ。」

「どうして?」

「蜘蛛って、交尾中とか後にメスがオスを食べちゃう時があるんだって。私は、周防くん食べられ無い。」


周防くんがこっちを向いて、私の頸動脈を捉えた。


「食べて良いよ。」


周防くんは爽やかに笑った。



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