空を見上げる皇帝ペンギン。
「そうなの?」
「あぁ。」
そっかそっか、と言って周防くんにピタリとくっついた。規則正しい吐息と鼓動が聞こえて、眠りに落ちる。真っ暗な闇。でも、暖かい闇。
翌日、早朝に周防くんは起きて準備をした。
私は体中が痛いのと眠いのとで、フラフラしながら周防くんの後を着いて回る。
「緋睡、眠ってて良いよ。」
「うーん、でも。」
「また来るよ、ああ、でも先に緋睡が来るのか。」
頭をトントンと撫でられる。それは別れを意味していて、周防くんはもう帰ってしまう。
「うん、またね周防くん。」
抱きつくと離れがたい。
でも、行かないと周防くんも大学があるから。
「またな、緋睡。」
アパートの階から周防くんの車が行ってしまうのを見て、部屋に戻った。
急に寂しくなって、涙が出た。