ねぇ、そばにいて。
漣は状態を少し上げて
また私の胸元に顔を埋めた。
「……極めつけはキスマークですよ。
葉月さんって、キスマークは絶対嫌だって俺に言ってましたよね。
昨日はそんなに激しかったんですか?」
"さっきエレベーターでも
あくびしてましたし。"
――――……?
「…キスマーク……?」
私が勢いよく上半身を起こすと
漣も驚いて、少し下がってくれた。
起き上がったおかげで、めくりあげられていたワンピースが降りて胸が隠れる。
ただ、それでもギリギリ見える所に。
「……気付いてなかったんですか?
見せびらかしてるのかと思いましたけど。」
漣が指差す所に。
堂々と紅い跡が存在した。
それが、漣が同じ箇所ばかりに触れる違和感の理由だった。
「…そんな……」
元さん以外いない。
どうしてキスマークなんて…。
私が嫌がることくらい分かってるはずじゃない。
「……嫌なんですか?」
"元さんでも"
私が黙り込んだのを見てか、
漣は意外そうに尋ねる。
「………、
嬉しくないことは確かだわ。」
取り乱したことにハッとして
苦笑いでキスマークを手で隠す。