ねぇ、そばにいて。
目を覚ませば、大きな窓ガラスから見えた景色は眩しいほど明るかった。
太陽は高く、おそらく1日で最も暖かい時間だ。
昨日から眠れていなかった私は
予想以上に長時間眠ってしまったらしい。
私の身体は細くスラッとした腕に抱きしめられていた。
「昨日はしっかり背を向けてたのに…」
これ以上ないくらい優しい体温に、私は頬が緩んだ。
…機嫌は直ったのかしら?
私は微笑みながら、漣の頬に触れる。
漣の寝顔は、相変わらず綺麗だけれど
なんとなく、いつもより少年らしい。
私の密かなお気に入りだ。
「………」
あどけないその寝顔に
少しだけ元さんの影が見える。
しかし、辛くもなければ胸が痛むこともない。
間違いなく漣のおかげだ。
「…ふふ」
まさか自分がこんなことになるなんてね。