ねぇ、そばにいて。










『お姉さん、

 ずいぶん綺麗に泣くんですね』









天使かと思ったくらい
本当に綺麗で透明な、彼に出会った。




自分がこんな賑やかな通りを歩いていた事にも、
何年かぶりに涙で頬を濡らしていた事にも気付かなくて。


でも、隠そうとも思わなかった。




『私の涙ほど汚いものはないわよ』


これは、元さんや奥さんに対する
決して綺麗じゃない気持ちで流した涙だから。


誰にも見せるべきじゃないもの。










『俺が傍にいてあげましょうか?』



貴方にだけは、見られてしまったけど。









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