ねぇ、そばにいて。
「ええ。すごく探してたわ」
私がそう答えても、
漣が服を渡す様子はない。
「もう服着るんですか?」
「あら、いけなかった?」
「いいじゃないですか、そのままで」
「漣のシャツって薄っぺらいから寒いわ」
少し動くだけで下着も見えるし。
さすがに、こんな格好で外を出歩く勇気はないわよ。
「大丈夫ですよ
俺の部屋って暖房かんぺきなんで」
「ふふ。漣の部屋が暖かくたって外が寒ければ意味ないじゃない、帰るんだもの」
「…もう帰るんですか?」
漣は少しずつ私に近づく。
「えぇ。漣は何か予定があるんでしょう?」
「予定?」
「さっき言ってたじゃない」
「?……あぁ、違いますよ」
「?」
漣が私の隣に腰掛けることで、ベッドが少し沈む。
「葉月さんが寝ろとか言うから。」
「え?」
「葉月さんが家にいることが
俺の予定ですよ」
また寂しそうに笑う漣。
私が漣の予定?
私がいるから寝ないってこと?
「……それって、やっぱり私帰った方がよくないかしら」