ねぇ、そばにいて。




「…そろそろ時間だな」


元さんの低い声が小さな部屋に響いた。



「……………」



「葉月(ハヅキ)…?」


反応のない私を覗き込む。


大きな手に髪を撫でられては、
更に切なくなるだけなのに。



「分かってる……… あと少し」


子供のような私。

それでも、
私が背中に回した腕に力を入れれば、彼は答えるように強く抱きしめてくれた。



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