鈍感モテgirl
「───…ほ!
──菜穂!!」
「えっ…?」
「どうしたの?ぼーっとしちゃってさ」
「いや、何でもないよ」
昔のことを思い出してしまった。
あの日以来、あたしは先輩とも話さなかった。
卒業式の日も「おめでとうございます」なんて言えなかった。
「ねぇ、陸くんのこと聞いた?」
「ん…まだ」
「あたし、いろいろ知りたいんだぁ☆」
今の亜矢は恋する乙女で可愛い。
こんな女の子、ほっとけないよ。
あたしがもし男の子なら即彼女にしたいくらい。
「亜矢って可愛いね」
「えぇ〜ッ?
ありえないからぁ!!」
恋する女の子は、
好きな人の前では可愛くしたいもの。
あたしも、こんな日が来るのだろうか…?