【短編】愛していたよ.....
「波里さん、時間です。行きましょうか」



スタッフさんが声を掛けてくれる。



「はい、そうですね」



そう言って、私とお父様とスタッフの方2人で皆が待つ、部屋の前の扉へ行く。



--ガチャ



スタッフさんが2人で片方ずつ、開けてくれて、パイプオルガンの演奏が始まる。



目の前には教会にふさわしい、大きなステンドガラスが見える。



片側は強化ガラスになっていて、その向こう側には綺麗な庭があった。



私とお父様は腕を組み、笑顔で皆の間をゆっくりレッドカーペットを歩いて行く。



今日、私と結婚する人の場所へと、1歩ずつ、距離を縮めていく。



もうすぐ、私は目の前で笑って待ってくれる人と結婚する。



だから、それまでに、君との思い出を頭の中に巡らせる。



私は君と結婚する事は出来ないから。



だから、この目の前で待っててくれる人に愛を注ぎます。



一生懸命頑張って、目の前の人を愛します。



君に捧げるつもりだった分まで、精一杯。



愛します。



だから、君も私の事はいい思い出にして、君を幸せにしてくれる人と幸せになってね。



私は心から、君の幸せを願っています。



何時までも。



永遠に...........




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