その冷たい手、温めてあげる。
大口を開けてコロッケパンを頬張るアキコ。
「もちろんだよ」
「ふーん」
アキコはあたしの返答に、試すような表情を向けていた。
「何よ」
「いや、眉間にシワが増えそうだから言わない方がいいかな、と窺ってたところ」
「眉間にシワなんてないし」
「そう、じゃ話しちゃおうかなぁ。また低体温王子のことなんだけど」
「何よ、またラブレターでも渡されてた?」
冷静を装ってアキコを見ないままお弁当をお箸でつついていると、
「昨日、ちょー可愛い女子生徒と手を繋いで歩いてたんだって」
手が止まる。